強迫性障害
強迫性障害(OCD)とは
強迫性障害とは、自分で無意味である、不合理であるとわかっている考えや行動を、自分の意に反して何度も繰り返してしまう状態です。そのため、本人とっては、すごく不快であり、時間の浪費となり、日常の生活に支障をきたすことも多いです。この障害は、不安障害の1つとして考えられています。
考えが自分の意志とは無関係に反復的・持続的に浮かんでしまい、打ち消すことができず、そのことで苦痛を感じる強迫観念(強迫思考)と、その観念を打ち消すために、不合理と分かっている行動を何度も繰り返してしまう強迫行為(強迫的儀式)とに分けられます。
強迫性障害の症状
強迫性障害の症状には、個人差がありますが、いくつか代表的なものについてご紹介します。
不潔恐怖、手洗い恐怖
身の回りのものを汚く感じてしまい、そのため、その物に触ることができず、触った場合には何度もその手を洗わないと気が済まない状態です。ひどい場合には、手がボロボロになるまで、何度も手洗いをしてしまうこともあります。
確認癖
電気やガスを消したか、家の鍵を閉めたかなどが心配となり、何度も確認をする状態です。ひどい場合には、夜間も寝ることができず、外出しても心配でわざわざ戻って来なくてはならない状態となります。
疾病恐怖
何か重い病気にかかったのではないか、感染症が移ったのではないかと過剰に心配となってしまう状態です。病院で検査を受けて異常がないと言われても安心できず、何度も何度も病院を受診してしまうこともあります。
強迫性障害の重要な点は、本人がその考えや行動を自分の力だけでは打ち消せず、ひどく困っているということです。重くなると、通常の日常生活も送ることができなくなってしまいます。この症状は、ストレスにより増減もみられ、また、うつ病や他の不安障害、さらには統合失調症との合併も多くみられます。
強迫性障害の治療方法
治療には、認知行動療法と薬物療法との併用が一般的です。
強迫性障害における認知とは、考え方や思い込み(強迫観念)であり、行動とは実際の動作や行為(強迫行為)です。これらを修正するために、主に暴露反応妨害法が用いられます。あえて恐れていることを体験させ(暴露)、それによる不安感を打ち消すための行為を起こさせないようにし(反応妨害)、段階的に繰り返すことで、その行為を行わなくても不安感が生じなくなるという手法です。
また薬物療法では、セロトニン再吸収阻害薬(SSRI)や三環系抗うつ薬であるクロミプラミンの有効性がわかっています。